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【超入門】損益計算書とは?会社の「儲ける力」が一発でわかる【覚えるべき5つ】

2025年12月17日

皆さん、良い投資ライフを送ってますか?
こんにちは、黒野ジミーです。

「損益計算書って利益がたくさん並んでいて、どれがなんの利益なのか分かりにくい…」
投資を始めたばかりの方なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。

売上総利益、営業利益、経常利益…。
同じ利益なのになぜこんなに種類があるのか、正直よく分からないですよね。

でも安心してください。
損益計算書は、はじめからすべてを理解する必要はありません。

実はたった5つの利益だけ押さえれば、その会社が ”どれくらい儲ける力を持っているのか” は十分に見えてきます。
逆に言えば、この5つが理解できていれば他の細かい項目はあとから自然と理解できるようになります。

本記事では

  • 売上総利益
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益


この5つに絞って、損益計算書を超入門レベルで解説します。

専門用語はできるだけ使わず損益計算書を上から順に読むだけで理解できるように説明していきますので、はじめての方でも大丈夫です。
読み終えるころには、決算書を見るのが ”難しい作業” から ”会社の成績を確認する楽しい時間” に変わっているはずです。

損益計算書(PL)とは何か?

損益計算書(英語の頭文字を取ってPLと略されます)とは、会社が一定期間にどれだけ儲かったかをまとめた表です。
”どれくらい商品を売って、どれくらいお金が残ったのか” を知るための、いわば会社の成績表のようなものです。

株式投資では、この損益計算書を見ることで

  • その会社はちゃんと稼げているのか
  • 利益は年々増えているのか

といったことが分かります。

決算書と聞くと難しく感じますが、損益計算書は上から順に読むだけで理解しやすいのが特徴です。



損益計算書は「一定期間の成績表」

ここで大切なのが、損益計算書は一定期間の成績を表しているという点です。

一般的には

  • 1年間(本決算)
  • 3か月(四半期決算)

といった期間で作成されます。

つまり損益計算書は、この期間にどれだけ稼げたかを見るためのもの。

この期間の成績を見るという考え方は、後ほど解説する利益の増減をチェックする場面でとても重要になります。



貸借対照表(BS)との違いを一言で説明

損益計算書とセットで語られるのが、貸借対照表(BS)です。
貸借対照表については下記記事を参照ください。

【はじめてのBS】難しい話は抜き!貸借対照表の基本「5つ」だけ解説

皆さん、良い投資ライフを送ってますか?こんにちは、黒野ジミーです。 「貸借対照表って読み方も分からないし、なんだか難しそう…」投資に興味を持ち、はじめてこの単語を目にした時に多くの方から拒否反応が出て ...

この2つの違いは、次の一言で覚えておくと分かりやすいです。

貸借対照表=会社の体力
損益計算書=会社の稼ぐ力

貸借対照表は、 ”今、会社がどんな財産を持っているか” ”借金はどれくらいあるか” を表します。

一方、損益計算書は ”その体力を使って、どれだけお金を稼げたか” を示します。

投資では、

  • BSで倒れにくさを確認し
  • PLで儲ける力を見る

この2つをセットでチェックすることが大切です。

損益計算書は「利益の階段」で理解しよう

損益計算書を見ていると、「利益って何回出てくるの?」と不思議に思うかもしれません。

実は損益計算書の利益はバラバラに並んでいるわけではなく、上から下へと順番に積み上がる“階段”のような構造になっています。

この ”利益の階段” という考え方を押さえるだけで、損益計算書は一気に読みやすくなります。


なぜ利益は1つじゃないのか?

利益が何種類もある理由は、とてもシンプルです。
どこまでを儲けと考えるかを段階ごとに分けているからです。

たとえば、

  • 商品を売ってどれくらい儲かったのか
  • 本業としてどれくらい稼げたのか
  • 借金の利息や税金を払う前はいくら残ったのか

これらは、すべて意味の違う儲けです。

もし利益が1つしかなければ、 ”本業が好調なのか” ”たまたま儲かっただけなのか” が分かりません。
そこで損益計算書では、儲けを段階ごとに分解して見える化しているのです。


上から順に読めばOKな理由

損益計算書は、上から順に読むだけで問題ありません。
なぜなら一つ上の利益から次の費用を引いていくことで、次の利益が計算されているからです。

つまり

上の利益
 ↓
さらに費用を引く
 ↓
次の利益が出る

という流れが、ずっと続いています。

途中を飛ばして下だけを見るよりも、 ”この利益は、どんな費用を引いた後なのか” を上から追っていく方が意味を正しく理解できます。
初心者の方ほど細かい項目より流れを見ることを意識すると、損益計算書がぐっと身近になります。

では次から、損益計算書の5つの利益について解説していきます。

第1の利益 売上総利益【商品の儲けやすさ】

売上総利益とは、商品やサービスでどれくらい儲かるかを表す利益です。
損益計算書における ”利益の階段” の一段目にあたります。

計算はとてもシンプルです。

売上総利益=売上高−売上原価売上総利益 = 売上高 − 売上原価

売上原価とは、商品を作ったり仕入れたりするために直接かかった費用のことです。

つまり売上総利益は、商品を売って原価を引いて、どれくらい利益が出たのかを示しています。

売上総利益が大きい会社は、儲けやすい商品・サービスを持っている可能性が高いと言えます。

たとえば、

  • ブランド力があり高く売れる=売上高が高い
  • 原価を抑える仕組みを持っている=売上原価が低い

こうした強みがあると、売上総利益は高くなりやすくなります。
逆に売上が伸びていても売上総利益が小さい場合は、 ”値引き競争に巻き込まれている” ”原価が高すぎる” といった課題を抱えている可能性があります。

初心者の方に覚えてほしいのは、売上総利益=会社の商売のうまさを表す数字だという点です。
この段階では、まだ人件費や広告費などは引かれていません。
あくまで ”商品そのもの” で勝負した結果が売上総利益です。

このあと解説する営業利益では、ここからさらに会社の運営コストが引かれていきます。
まずは、売上総利益は、商品の儲けやすさを見る利益この一言だけ、しっかり覚えておきましょう。

第2の利益 営業利益【本業の実力】

営業利益とは、会社が本業でどれだけ稼げたかを表す利益です。
投資初心者の方が、まず最初に重視したいのがこの営業利益です。

計算式は次のとおりです。

営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費(販管費と略します)とは、

  • 人件費
  • 広告宣伝費
  • 家賃や光熱費

など、会社を運営するためにかかる費用のことです。

売上総利益は商品の儲けやすさでしたが、営業利益ではそこからさらに、

  • 人を雇って
  • 広告を出して
  • 家賃や光熱費も支払って
  • 組織として事業を回した結果

最終的にいくら稼げたかが分かります。

そのため営業利益は、会社の本当の実力を表す利益と言われます。

投資の世界で営業利益が重視される理由は、一時的な要因に左右されにくいからです。
たとえば、不動産を売ったや、為替でたまたま利益が出た、などのこうした要因は営業利益には含まれません。
あくまで日々の事業活動で必ず発生する収入と支出を差し引いた ”本業で稼いだ結果” だけが反映されます。

だからこそ、

営業利益が安定して伸びている会社= 本業が強く継続的に稼げる会社

と判断しやすいのです。

初心者の方はまず営業利益がプラスかどうか、そして前年より増えているかをチェックしてみてください。
細かい内訳まで理解できなくても問題ありません。
”本業でしっかり利益を出せているか?” この視点を持つだけで、投資判断の精度は大きく上がります。

第3の利益 経常利益【経営の安定感】

経常利益とは、本業だけでなく会社全体としてどれだけ安定して稼げているかを表す利益です。
営業利益の次に位置する、損益計算書の重要な利益のひとつです。

計算式は次のとおりです。

経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用

営業外収益・営業外費用とは、本業以外で発生する収益や費用のことを指します。
具体的には、

  • 預金や有価証券の利息
  • 受取配当金
  • 借入金の支払利息

などが該当します。

これらは毎年ある程度発生するものが多く、”臨時”ではなく経常的に起こる収支と考えられています。
そのため経常利益は、会社の経営がどれくらい安定しているかを見るのに適した利益です。
営業利益が出ていても、借金の利息が大きければ経常利益は減ってしまいます。
この場合、本業は好調でも財務面に不安があると判断できます。

初心者の方は、

  • 営業利益が出ているか
  • 経常利益も同じように出ているか


この2つをセットで見るのがおすすめです。


営業利益より経常利益が大きく下がっている場合は、「本業以外でお金が出ていっていないか?」という視点でチェックしてみましょう。

第4の利益 税引前当期純利益【税金を払う前の成績】

税引前当期純利益とは、税金を支払う前の最終的な利益です。
名前は少し長いですが、意味はとてもシンプルです。

これまで見てきた本業の利益(営業利益)、経常的な収支(経常利益)に加えて、一時的な利益や損失まで含めた結果がこの税引前当期純利益になります。

計算式は次のとおりです。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失

特別利益・特別損失とは、毎年必ず発生するわけではない”臨時の出来事”による収支です。
たとえば、

  • 土地や有価証券を売却した利益
  • 災害や事故による損失
  • 事業の整理・撤退に伴う損失

などが該当します。

これらは会社の実力そのものというより、その年特有の出来事によって発生します。

そのため税引前当期純利益は、 ”その会社のその年の総合成績” と考えると分かりやすい利益です。
営業利益や経常利益が安定していても大きな特別損失があれば、税引前当期純利益は大きく減ることもあります。
逆に、一時的な特別利益によって数字が大きく膨らむケースもあります。

初心者の方に意識してほしいのは、税引前当期純利益がなぜ増えたのか、減ったのかを見ることです。

  • 本業が原因なのか
  • 一時的な要因なのか


この違いを意識するだけで、決算数字の見え方が一段深くなります。

第5の利益 当期純利益【最終的に残ったお金】

当期純利益とは、すべての費用と税金を支払ったあとに最終的に会社に残る利益です。
損益計算書における ”利益の階段” の一番下、ゴールにあたる利益です。

計算式は次のとおりです。

当期純利益=税引前当期純利益−法人税等当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税等

ここまでくると、本業・本業以外・一時的な出来事・税金、そのすべてを反映した結果がこの数字に集約されます。

当期純利益は、株主にとって最も身近な利益です。
なぜならこの利益が

  • 配当の原資
  • EPS(1株当たり利益)の計算元

になるからです。

ニュースや決算速報で「○○社、今期は増益」「減益」といった表現が使われるとき、多くの場合この当期純利益を指しています。

ただし、当期純利益だけを見るのは注意が必要です。
たとえば一時的な特別利益で大きく増えている、税金の影響で一時的に減っている、こうしたケースでは会社の本当の実力を正しく表していないこともあります。
そのため、当期純利益は営業利益や経常利益とあわせて見ることが大切です。

初心者の方は、まず次の2点をチェックしてみてください。

  • 当期純利益はプラスか
  • 前年より増えているか

そして ”なぜ増えたのか” ”なぜ減ったのか” を上の利益までさかのぼって確認できれば、損益計算書はもう怖くありません。

これで、売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 税引前当期純利益 → 当期純利益という ”利益の階段” をすべて見てきました。

初心者はどの利益を一番見ればいい?

ここまで5つの利益を見てきて、「結局、どれを一番見ればいいの?」と感じている方も多いと思います。

結論から言うと、初心者は全部を完璧に見る必要はありません。
まずは2つだけ意識すれば十分です。



第一に見るべきは「営業利益」

最初にチェックしたいのは、営業利益です。

理由はとてもシンプルで、営業利益は本業の実力を最も素直に表す数字だからです。
商品やサービスはちゃんと利益を生んでいるか、会社としてうまく事業を回せているか、こうした点は営業利益を見ることで判断できます。

初心者の方は、営業利益がプラスかどうか、前年より増えているか、この2点だけでも確認してみてください。



次にチェックしたいのは「当期純利益」

次に見るべきは、当期純利益です。

当期純利益は配当、EPS(1株当たり利益)につながる、株主目線で重要な利益です。
営業利益がしっかり出ていて当期純利益も安定していれば、 ”本業で稼ぎ、その結果がきちんと株主にも届いている” 会社だと考えられます。



5つすべてを一度に覚えなくてOK

損益計算書は情報量が多く、最初はどうしても難しく感じがちです。
ですが、無理に全部を覚える必要はありません。

まずは営業利益、次に当期純利益、余裕が出てきたら経常利益や税引前利益、という順番で理解していけば大丈夫です。

損益計算書は、何度も見ることで少しずつ読めるようになる書類です。
最初から完璧を目指さず「この会社は本業でちゃんと稼げているかな?」そんな感覚で、営業利益を見るところから始めてみましょう。

損益計算書を投資にどう活かす?

損益計算書は、数字を眺めるだけの書類ではありません。
「この会社に投資して大丈夫か?」を考えるための材料です。

ここでは初心者の方でもすぐ実践できる、損益計算書の活かし方を3つに絞って紹介します。



①成長している会社かをチェックする

まず確認したいのは、利益が年々増えているかどうかです。

特に注目したいのは、営業利益、当期純利益、この2つが数年にわたって右肩上がりかを見てみましょう。一時的に数字が良いだけではなく継続して利益を出せている会社は、ビジネスモデルがうまく機能している可能性が高いです。



②利益の中身を見るクセをつける

利益が増えている場合でも、なぜ増えたのかを考えることが大切です。

本業が好調で営業利益が伸びているのか、一時的な特別利益で当期純利益が増えているのか、この違いによって評価は大きく変わります。
営業利益 → 経常利益 → 当期純利益 と上から順に見ていくことで、利益の増減理由が自然と見えてきます。



③他の指標と組み合わせて判断する

損益計算書は他の投資指標と組み合わせることで、より力を発揮します。

たとえば、

  • 営業利益 → 営業利益率
  • 当期純利益 → EPS、PER

といった形です。

利益の額だけでなく、効率性や株価との関係もあわせて見ることで、より立体的に会社を評価できます。

損益計算書を読む目的は、完璧に理解することではありません。
この会社は、ちゃんと儲ける力があるか?この問いに答えられれば十分です。

まとめ|損益計算書は「この5つ」だけで十分

損益計算書は一見すると難しそうに見えますが、一度にすべてを理解する必要はありません。
本記事で解説したように、損益計算書は ”利益の階段” として見ることでぐっと分かりやすくなります。

まずは、次の5つだけ押さえればOKです。

まとめ

  • 売上総利益:商品の儲けやすさ
  • 営業利益:本業の実力
  • 経常利益:経営の安定感
  • 税引前当期純利益:税金を払う前の成績
  • 当期純利益:最終的に残ったお金

この順番で上から見ていくことで、どこで利益が増えたのか、減ったのかが自然と見えてきます。

最初からすべてを完璧に覚えようとしなくて大丈夫です。

  • まずは営業利益で本業が強いかを確認
  • 次に当期純利益で最終的に利益が残っているかを見る

この2点だけでも、投資判断の精度は大きく変わります。

損益計算書は、何度も見ることで少しずつ読めるようになります。
最初は分からなくても、「この会社はちゃんと儲けているかな?」そんな視点で数字を追うだけで十分です。

ぜひ今回紹介した5つの利益を意識しながら、決算書に触れてみてください。
損益計算書は会社の儲ける力を知るための、とても心強い味方になってくれるはずです。

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