家計簿歴10年の個人事業主が、事業を始めて「生活費が分からなくなった」瞬間

事業を始めてから、プライベートのお金の管理が難しくなった。
事業用と個人用の境目があいまい・・・
そんなお悩みにお答えします。
多くの個人事業主の方が、事業資金と生活費をうまく分けられず悩んでいると思います。
この記事を読むと、事業用と個人用のお金を混ぜずに、プライベートの支出を正確に把握するための3つのルールが分かります。
筆者はFP資格を保有しながら、10年以上スマホのアプリで家計簿をつけ続けてきました。
それでも個人事業主になってしばらく経った最近、資産管理アプリを試しに使い始めたことをきっかけに、一時的に自分の生活費がいくらなのか分からなくなった経験があります。
今回はその経験をもとに、以下の内容を解説します。
- 個人事業主になって分かったこと
- 家計簿をつける時の3つのルール
- FPと簿記、両方必要か?
家計簿を続けているだけでは足りなかった部分、FPと簿記の知識があったからこそ気づけたことを、実体験ベースでお伝えします。
それでは、さっそくいきましょう。
家計簿を10年続けても、個人事業主になって支出が見えなくなった瞬間

個人事業主になる前は、会社からの給与と個人の支出さえ押さえていれば十分でした。
毎月決まった額が振り込まれ、そこから生活費を払う。
シンプルな構造だったので、家計簿をつける目的も「支出を理解すること」の一点に絞られていました。
筆者はもともとZaimというアプリを使い、10年以上プライベートの家計簿をつけています。
無課金なので口座やカードとの連携はせず、ほぼ手入力です。
収入は記録せず、月々の支出がどれくらいかを把握することだけを目的にしてきました。
個人事業主になった今も、プライベートの支出管理はこのZaimで続けています。
状況が変わったのは、個人事業主になってからです。
事業を始めると、事業の利益や事業用の口座から、生活費としてお金を移動させて使う場面が出てきます。
会社員時代のように「給与」という明確な区切りがないため、事業用のお金と個人用のお金の境目は、どうしても曖昧になりがちです。
こうした境目の曖昧さをどうにかしたいと思っていた頃、YouTubeで資産管理にMoneyForward MEを活用している方の動画を見かけたことをきっかけに、自分でも試しに使ってみることにしました。
こちらは課金してすべてのクレジットカードや銀行口座を連携させていますが、事業用とプライベート用の口座もまとめて連携しているため、かえって「今月、自分は個人としていくら使ったのか」が分かりにくくなっています。
使い方次第で事業用とプライベート用を分けられる可能性はありますが、まだそこまで運用を整理できておらず、現在も試行錯誤している段階です。
個人事業主が家計簿を分けるために実践している3つのルール

MoneyForward MEでの試行錯誤を経て、現在は事業用とプライベート用のお金を意識的に分けるようにしています。
完璧に線引きできているわけではありませんが、これから紹介する3つのルールを徹底することで、少なくとも「自分が個人としていくら使ったか」は把握できるようになりました。
クレジットカードと銀行口座は事業用とプライベート用で分ける
基本的なことですが、事業用とプライベート用のカードや口座は分けておくのが鉄則です。
もし事業用クレジットカードでプライベートのものを買ってしまうと、あとから使った金額を計算してプライベート用の家計簿に記入し、仕訳でも事業主貸として処理する必要が出てきます。
最初から分けておけば、どれが事業用でどれがプライベート用か見分ける手間そのものがなくなります。
特に事業での購入頻度が多い場合や、金額が大きい場合ほど、あとから仕分ける作業の負担は無視できません。

カードを使った直後は覚えているし、間違わないだろうと思ってしまいます。
しかし確定申告の時期になっていざ仕訳をしようと思うと、当時のことをすっかり忘れてしまうんです。
事業用カードで個人の支出をした場合は、家計簿に必ず記載する
とはいえ、どうしても事業用カードでプライベートのものを買ってしまう場面は出てきます。
そのときは、家計簿に必ず記載することを徹底しています。
記載を怠ると、事業用カードで発生したプライベート支出の見落としにつながり、月々の正確な金額が分からなくなってしまいます。
この一手間を積み重ねることで、プライベートの支出はより正確なものになります。

私は、カード引き落とし日に
「◯◯カード xxxxx円 用途:aaaaa」
のような情報を家計簿アプリに入力しています。
交通費など細かい支出も、プライベート分は個人支出として記録する
Suicaのようなチャージ式の交通系ICカードは、事業用とプライベート用の境目が特に分かりにくくなります。
仮に事業用クレジットカードでチャージした場合でも、プライベートで使った分はまず家計簿に記載し、仕訳では事業主貸として処理しています。
交通費に限らず、こうした細かい支出まで丁寧に家計簿へ記録しておくことで、確定申告の際に判断に迷っても、家計簿を見返せば内容を明確にすることができます。

普段、私はスマホのメモアプリに使った電車賃などをメモしておきます。忘れないように。
メモをもとに、その夜にまとめて家計簿アプリに入力するようにしています。
FPと簿記、両方の知識があったから見えてきたこと

家計簿を分けて記録するようになって気づいたのは、この習慣自体がFPと簿記、両方の知識と地続きだったということです。
FPの視点:支出の把握がキャッシュフロー表の土台になる
FPの学習で必ず出てくるのがキャッシュフロー表です。
将来必要になる資金を計算するには、まず現在の収支を正確に把握しておく必要があります。
収入については、給与や事業の売上として意識している方が多いと思いますが、支出は毎月いくら使っているのか、年間にするとどれくらいになるのか、感覚的にしか捉えていない方も少なくないはずです。
長年家計簿をつけてきたことで、この支出の部分がすでに埋まっている状態だったので、キャッシュフロー表もスムーズに作成できました。
支出をきちんと記録できているというのは、そのままキャッシュフロー表の完成度に直結します。

キャッシュフロー表を意識しておくと、将来的にどれくらいの収入が必要なのか、または支出はどの程度で押さえられればいいのか、判断の軸ができます。
簿記の視点:仕訳の知識があるから、迷わず振り分けられる
一方、簿記の知識が活きているのは、主に仕訳の場面です。
事業用とプライベート用のお金をどう管理し、どちらの支出として扱うべきか、判断に迷う場面は少なくありません。
簿記の知識があることで、こうしたイレギュラーな支出にも対応でき、家計簿にどう反映すれば正確な支出管理になるかが見えてきます。
これは確定申告とも関係しています。
個人事業主を続ける年数が長くなるほど、仕訳の積み重ねも増えていきます。
きちんと仕訳をしているつもりでも、前年の処理とズレが生じたり、あとから修正が難しくなったりする場面が出てくるのですが、こうしたときも簿記の知識があれば、どこで判断がぶれたのかを遡って確認しやすくなります。

基礎的な部分で言えば、簿記の知識は家計簿をつける為に必要というよりは、判断する為にあると便利という印象です。
まとめ:家計簿とFP・簿記の知識で、個人事業主のお金の境目を分ける

家計簿を10年続けてきただけでは、事業を始めたときのお金の境目の曖昧さは解決できませんでした。
そこに気づかせてくれたのが、FPと簿記、両方の知識です。
支出を正確に記録する習慣に、キャッシュフロー表の考え方と仕訳の判断力が加わったことで、事業用とプライベート用のお金を以前より正確に分けて管理できるようになりました。
もっとも、MoneyForward MEを使った資産管理全体の整理は、筆者自身もまだ試行錯誤の途中です。
それでも、まずはプライベートの支出だけでも正確に把握できていれば、事業用のお金との境目に迷ったときの判断基準になります。
もし今、事業用とプライベート用のお金の境目に曖昧さを感じているなら、まずは普段お使いの家計簿アプリで、プライベートの支出だけでもきちんと分けて記録することから始めてみてください。
それだけで、見えていなかったお金の流れが、少しずつはっきりしてくるはずです。

一気に完璧を目指さなくて大丈夫です。
まずはプライベートの支出だけ、分けて記録することから始めてみてください!
